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なぜ野菜を食べなければいけないのか?

「野菜の日」をご存じだろうか。8月31日の数字831を「や・さ・い」と読み替えた語呂合わせで、
1983年に全国青果物商業協同組合連合会などの業界団体が制定した。しかし、制定から20年以上を
経た現在、日本人の野菜不足はますます深刻化している。野菜の日に限らず、野菜の重要性を
もっと知るべきだろう。

なぜ野菜を食べなければいけないのか?

  • 野菜を食べる理由

    厚生労働省では国民栄養調査の結果から、健康を維持するためには1日に350g以上の野菜を食べるよう
    推奨している。しかし、「どうして野菜をたべなければならないの?」子どもならずとも、そう誰かに
    訊いてみたい人は多いことだろう。

    糖質、脂質、たんぱく質以外の必須栄養素は、ビタミン、ミネラル、食物繊維だが、ビタミンは
    体内にあって新陳代謝やエネルギー代謝を行うのに必要な補酵素であり、体内の活性酸素を
    消去するための抗酸化物質でもある。活性酸素は細胞を傷つけて肉体を老化させ、がんを始めとする
    さまざま病気を引き起こす。ビタミンを十分摂取するために野菜は欠かせない。

    野菜に豊富なミネラルとして、カリウムはナトリウムを排出して血圧を正常に保ち、カルシウムや
    マグネシウムは骨を形成するだけでなく、筋肉や内臓の働きに不可欠なミネラルだ。
    また、食物繊維は腸内環境を整えて健康の維持増進に必要な栄養素である。

    可食部100gに含まれるカロテノイドの量が600μg以上の野菜は緑黄色野菜、600μg未満なら
    淡色野菜に分類され、1日の摂取目標350gのうち120gは緑黄色野菜を摂るのがベター。
    βカロテンなどのカロテノイド類は体内でビタミンAに変わるだけでなく、非常に強力な
    抗酸化物質でもあり、がん予防に効果があるとされる。

  • がん予防効果を含んでいる野菜もある

    一方の淡色野菜にも、カロテノイドとは別のがん予防効果がある。それが「抗変異原性」と
    呼ばれる働きだ。変異原性とはDNAに変異を引き起こす物質のことで、いわゆる発がん物質とは
    ほぼ変異原性物質を指す。

    昔、肉やパンなどの焦げた部分を食べるとがんになる、という都市伝説があった。
    この焦げた部分に含まれるのが発がん物質のアクリルアミドで、最近ポテトチップスやフライドポテトに
    多く含まれるとして話題になっている。食品安全委員会では対応策として、アクリルアミドを含む食品の
    摂取量を抑えるとともに、果実や野菜の摂取を推奨している。

    ニトロソアミンは、タバコに含まれるニコチンの代謝物で、肺がんの主な原因とされるが、発色剤として
    利用される亜硝酸塩を多く含むハムやソーセージにも含まれている。最近、WHOがこれらの加工肉を
    発がん物質として指定したために、業界団体が反発して騒動となっている変異原性物質だ。

    野菜には抗変異原性があり、これら発がん物質に対して予防効果を発揮することが知られている。
    アメリカ国立がん研究所ががん予防効果のある淡色野菜として挙げているのは、ニンニク、タマネギ、
    セロリ、ナス、ジャガイモ、キャベツ、ショウガなど。これら以外で抗変異原活性の高い淡色野菜は
    キュウリ、ダイコン、ハクサイなどがある。

    私たちの周りにあるさまざまな栄養的リスク、毒物による危機を回避するためにはどうすればいいのか。
    もうおわかりだろう。野菜を食べなければならない理由がそこにある。

  • ◆ライター◆

    朝倉哲也

    日本臨床栄養協会認定サプリメントアドバイザー。
    「名医がすすめる最良のサプリメント10種」エクスナレッジのほか、同文書院「サプリメント・健康食品の効き目と安全性」、「サプリメント・健康食品の効き目事典」などを執筆。
    小学館「サプリメント健康バイブル2008」制作スタッフ。
    雑誌、Webコンテンツなどでも活躍するサプリメント・健康食品のスペシャリスト。
    ブログ:アンチエイジングのトビラ
    著書:名医がすすめる最良のサプリメント10種

    <参考>
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/48/7/48_7_637/_pdf
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/20/1/20_1_11/_pdf
    https://www.fsc.go.jp/sonota/acrylamide-food170620.pdf
    http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-34645057