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栄養3色チェックだけじゃ健康になれないワケ

厚生労働省が勧める「栄養3:3運動」というのがある。「朝昼夜の3食」と「3色の食品群のそろった」食事を
毎日とろう、というものだ。3色の食品群とは、赤=血や肉となる食品、黄=働く力になる食品、
緑=体の調子を整える食品を表している。栄養素でいうならば、赤はたんぱく質、黄色は炭水化物と脂質、
緑はビタミン、ミネラルということになるだろう。それぞれの色に応じた食品をバランスよく食べよう、
というのが趣旨だ。

この運動の歴史は古く、昭和27年に広島県庁の栄養士が提唱したのが始まりだ。
最初の名称は「栄養3色運動」であったが、当時の日本は戦後の復興期にあり、毎日「3食」というまでも
なかったのであろう。当時、3食きちんと食べることのできた家庭はそう多くはなかったかもしれない。

栄養3色チェックだけじゃ健康になれないワケ

  • 時代の変化が与える食文化の違い

    時代は下り、現代日本ではどうか。毎日3食は食べられて当たり前、昭和27年にちゃぶ台を囲んだ
    家族には想像すらできなかった飽食の時代が訪れている。にもかかわらず現代の日本でわざわざ
    「3食」と表記する理由は何か。

    昭和27年の国民栄養調査によれば、当時の摂取エネルギーは2109kcalとなっている。
    そして、当時の厚生省が目標としたのは10年間で乳製品を12倍に、肉類を2.3倍、
    砂糖を3.9倍にすることであった。

    ところが、平成25年の国民栄養調査では摂取エネルギー量を1887kccalと減少しているにも関わらず、
    男性の肥満者は全体の3割弱、女性は2割強を占めている。一方で「やせ」に関しては男性の5%弱に
    対して女性は12%強と多い。

    現代の日本では過激なダイエッターと肥満者の間で摂取エネルギーの隔たりが大きく、
    1日1~2食という人も少なくない反面、間食や夜食を含めて4~5食を食べる人もいる。
    きちんと「3食」という人は意外にまれな存在なのかもしれない。

  • PFCバランス

    また、摂取エネルギーに占める栄養の比率、俗にいうPFCバランスも大きく変わっている。
    PFCバランスとは、P=Protein(たんぱく質)、F=Fat(脂質)、C=Carbohydrate(炭水化物)の
    比率を指している。

    理想的なPFCバランスは「P:F:C=15:25:60」といわれているが、昭和30年のPFCバランスは13:9:78で、
    当時の日本人はエネルギーのほとんどをコメや穀類などの炭水化物から摂取していた。
    今はどうかというと、平成25年の調査では「P:F:C=13:29:58」となっている。

    数字だけを見ると、昭和30年当時に比べて理想に近づいているように見える。だが、脂質の摂り過ぎと
    炭水化物に占める砂糖の割合は問題だ。特に砂糖は摂りすぎの傾向にある。

    WHO世界保健機関は健康への影響から、総摂取エネルギー量に占める砂糖のエネルギー量を
    5%としているが、これは重量にすると25g程度。しかし、ペットボトルの清涼飲料水などでは、
    多いものだと30g以上もの砂糖が含まれている。砂糖の大量摂取が糖尿病や動脈硬化の原因と
    なることは周知のとおりだ。
    60年の長きにわたり「栄養3:3運動」を推進してきた厚生労働省だが、2005年には農林水産省と合同で
    「食事バランスガイド」を策定している。このバランスガイドでは具体的にどんな食材をどのような
    割合で食べるか、が示されている。

    もはや「3色を3食」では済まされない時代を迎えていることの現れ、といえるのかもしれない。

  • ◆ライター◆

    朝倉哲也

    日本臨床栄養協会認定サプリメントアドバイザー。
    「名医がすすめる最良のサプリメント10種」エクスナレッジのほか、
    同文書院「サプリメント・健康食品の効き目と安全性」、
    「サプリメント・健康食品の効き目事典」などを執筆。
    小学館「サプリメント健康バイブル2008」制作スタッフ。
    雑誌、Webコンテンツなどでも活躍するサプリメント・健康食品のスペシャリスト。
    ブログ:アンチエイジングのトビラ
    著書:名医がすすめる最良のサプリメント10種

    <参考>
    http://nikkancareism.jp/archives/5206
    http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-001.html
    http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-007.html
    http://www.timesoft.jp/epub/ipad2013-5/gakkou%20kyuusyoku.pdf
    http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000068070.pdf
    http://low-carbo-diet.com/greeting/topic/changes-in-pfc-ratio-in-japanese
    http://www.komenet.jp/pdf/chousa-rep_H26-4.pdf