Special Issue 治験の特集

肥満症とは

「肥満症」という言葉を耳にしたことがありますか?
肥満であること自体は病気ではありません。肥満に基づく健康障害を合併した場合や、
その危険が高い場合を「肥満症」といいます。
肥満かどうかはBMIで判定され25以上の場合、肥満であるとされています。
BMIの計算式は次の通りです。

体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))=BMI

肥満症であるかどうかはBMIに加えて、合併症やその危険性の有無によって判定されます。
睡眠障害をはじめ、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などの障害が肥満と
深く関係があるとされています。

肥満症とは

  • 肥満症対策の基本は運動と食事

    肥満症の治療の基本は食事療法、運動療法です。
    食事療法は摂取カロリーをコントロールすることはもちろん、加えて栄養バランスや
    食べる時間帯・頻度も考慮します。
    摂取カロリーが同じでも、脂肪になりやすい栄養素と、なりにくい栄養素があります。
    しかし、脂肪になりにくい栄養素のみ食べて言い訳ではありません。例えば、脂肪になりやすい
    炭水化物を制限しすぎると体蛋白質の減少やケトン体が血液中に増えます。これは、体に負担をかけ、
    逆効果とされています。

    また、食べる時間帯によって体に与える負担も変わってきます。夜食は消化器官に負担をあたえます。
    同じ食事でも早食いをすると血糖値を急激に高め、糖尿病のリスクを高めます。間食が多い人は
    空腹感ではなく習慣から間食をしているケースがあります。
    このように、食事療法は単にカロリーを制限するだけではなく、バランスのとれた食事を健康的に
    食べられるようにすることなのです。実に奥が深いのです。

    運動療法も、運動の種類や仕方によってその効果に違いが現れます。
    肥満症の場合、第一の目的は脂肪を減らすことです。そのためには脈拍数でいうと1分あたり110〜130に
    なるくらいの運動がよいとされています。ウォーキングや水中歩行など、ゆっくりとした動きを
    伴う運動がこれにあたります。また、体重が重い状態で激しい運動をすると足腰への負担が
    大きいという点からも、ゆっくりとした運動をしたほうがよいと考えられます。
    運動療法の第二の目的は太りにくい体質をつくることです。心肺機能を高め、筋肉量を多くすることで
    基礎代謝を上げることができます。すると、太りにくくなります。
    運動というと、激しいスポーツを想像しがちですが、運動療法は個人の目的や状態にあわせて
    行うことが重要なのです。
    これ以外にもストレスや住環境・仕事環境の改善を通じて肥満症の改善を試みることがあります。

  • 進む肥満症の治療薬開発

    従来の治療方法に加えて、現在新薬の研究が進んでいます。
    例えば、2013年には脂質消化酵素のリパーゼを阻害し、消化器で脂質を吸収しにくくする薬が開発され、
    承認を得ました。体が吸収するエネルギー量を減らすことができれば、食事療法や運動療法の効果を
    高めることができます。
    これ以外にも、中枢神経系に作用して食欲を抑える薬が開発をされています。
    このように、食欲を抑え、吸収されるエネルギーを抑える薬を使用することで、エネルギーの摂取過多を
    抑えやすくなっています。ただし、これらは食事療法・運動療法の代わりになるわけではありません。
    併用して活用することで、治療の効果を高める目的で使われるものです。

    肥満症の原因はその患者の生活習慣にあります。生活習慣を変えなければ、一時的に状態が
    改善をしたとしてももとに戻ってしまいます。だからこそ、食事療法を通じて適切な食事を知り、
    運動療法を通じて太りにくい体質を作ることが大事なのです。

    肥満症で苦しんでいる人は日本に2300万人以上とされています。その人達が合併症にならずに
    すむように1日でも早くなることを願います。