アルツハイマー病とは
アルツハイマー病は記憶などの認知機能に障害がでる病気です。
物忘れや新しいことを覚えられないことを訴える人が多いです。それ以外にも徘徊(はいかい)などの
異常な行動や、物を盗られたという妄想などがみられます。
残念ながらアルツハイマー病に関して根本的な治療はまだ見つかっていません。ただしその進行を
遅くすることができます。これらを有効に活用するためには家族をはじめとした周りのサポートが
重要となるのです。
-
- 若くてもなりえるアルツハイマー病
-
アルツハイマー病は認知機能の検査と日常生活に関する検査を行い、診断を行っています。
CTやMRIによる検査を行うと脳の萎縮が見られます。また、アルツハイマー病は当初高齢者に
限った疾病であると考えられていましたが、今では65歳以下の人でも同じ障害が発症しうることが
わかっています。若年で発症するアルツハイマー病は家族性アルツハイマー病と言われることもあります。
その名の通り、遺伝的な要素が関連していることが強く疑われています。片親が若年で
アルツハイマー病を発症した場合、その子供も発症する確率は50%だとされています。
そのため、年齢に関わらず症状が疑われる場合は早めに主治医に相談するようにしましょう。
-
- 早期治療が重要なアルツハイマー病
-
アルツハイマー病のは服薬や快適に過ごせるような環境をつくりだすことによって、
進行を防ぐことができるとされています。また、治療開始は初期状態であればあるほど、
より効果的であるともされています。
そのために、症状が見られた場合、早めに医師の診断をうけることが重要です。アルツハイマー病の治療の柱になる服薬です。しかし、これが簡単ではありません。
ある調査によれば、アルツハイマー病患者に経口薬を服薬してもらうのに10分以上かかるとする
介護者の方が49.6%もいました。
また同調査は、ちゃんと服薬したかどうかを確認するため、約30%の介護者は服薬をするまでそばで
見守り、薬のシートを確認するなどをしていることを明らかにしています。これらは患者家族や
介護者にとって大きな負担であることは容易に想像できます。アルツハイマー病の患者を支える家族等の負担を長期的に軽くするためにも、
早期発見・早期治療が大事なのです。
-
- 残存機能を引きだし、維持するために
-
また、非薬物療法も活用します。
このときに重要になるのは残存機能を活用できるように、患者の能力に合わせることです。
間違いを指摘したり、叱ったりすると症状が悪化いたします。
具体的な治療法としては例えば以下のようなものがあげられます。・回想法 … 昔の記憶を思い出し、そのとき感じたことを話すことを通じて
安心と自信を持てるようにします
・音楽療法・アートセラピー … 音楽や工作を楽しみ、歌う・創作するなどの作業を通じて
体を動かすことを通じて体の認知能力を維持します
・認知刺激 … トランプやボードゲーム等を通じて知的刺激を与え、認知機能の維持を図ります
・運動療法 … 体全体を動かすことも認知能力維持に有効ですこれらを実践するにあたって重要なことは、家族や介護者など、患者を取り巻く関係者が
お年寄りのペースに合わせてケアを行うことです。例えば、アルツハイマー病になると
食べるスピードが遅くなる傾向があります。すると本人の能力に関わらず、食事を口まで運び、
時間内に食事を終えられるようにサポートしたくなります。しかし、これは本人の残存能力を
活かさないことに加え、心に傷を与えます。
アルツハイマー病で認知能力が低下をしていたとしても、本人にはプライドや自尊心があります。
変化や異常を受け入れ、共感をもって対応することが肝要です。
-
- 介護者の健康を守ることも大事
-
丁寧にアルツハイマー病患者の介護をすればするほど、介護する家族の負担は大きくなってしまいます。
これが原因となり、今度は介護者の心身の健康を害してしまう場合があります。
患者の健康を守るためにも、介護者の健康維持は大切です。適宜デイサービスやショートステイなどの
公的サービスを利用することをオススメいたします。介護者も休息が必要です。アルツハイマー病は長期間にわたってつきあう病気です。
患者と家族・介護者が共に笑顔ですごせるような環境をつくれるようにしていきましょう。